AORT
AORTオステオパシシー自律整復Tech
【AORTオステオパシー自律整復テクニック】
⇨“筋肉の固有感覚受容システム”と“脊髄”を「リプログラミング(再教育)」するために穏やかに行われる間接法のオステオパシー手技療法です。
AORTの特徴は?
- 安全な治療法なので、各種セラピーに取り入れやすい手技療法です。
- AORTが全面的に禁忌とされているものはほとんどありません。(裂傷や骨折、急性リューマチ、局部的炎症過程、など以外)
- 過剰に不安を抱いている患者/クライアントにも安心して利用できます。
- 患者/クライアントは治療途中 にすでに改善を感じることができます。
- トリガーポイント/痛点を触診できるようになります。
- トリガーポイントを局限化する事でどの様な障害かを認識することができるようになります。
- トリガーポイントの 痛みの度合いで障害の度合いを推定することができるようになります。
- 早いテンポの施術法が使えない時、筋肉の緊張がひどすぎ「局限トラウマ」の症状がある時、マニュピュレーションが禁忌とされる状態、リスクを伴う頸椎機能障害の治療、などにも最適な療法。
『AORTオステオ テクニック』は、速いテンポで関節マニュピュレーションを行うような技法ではなく、筋肉の固有感覚受容システムと脊髄を「リプログラミング(再教育)」するために穏やかに行われる間接法のオステオパシー手技です。
AORT←略語の意味は?
AORTは“オステオパシー自律整復テクニック”の略字です。この文脈においてのAutonomousは、「正しい治療ポジションに持ってゆくテクニックを通じて、“正しい位置”の情報を受け取った場合、身体が自身で自動的に筋肉を矯正する」という意味で使われています。“repositioning technique(整復テクニック)”とは、機能障害が原因で起こることが多い「反復姿勢」によって引き起こされた状態を、治癒的位置に修復するという意味です。
ここで言う整復手技は、ローレンス H.ジョーンズD.O.が開発した“ストレイン/カウンターストレイン”というポジショニングを多く利用する技法です。
Dr.ジョーンズの「ストレインカウンターストレイン」に補足と観測を加えた、新しい要素は下記の3点です。
- a横行インパルス
- b後等長性リラクゼーション
(マッスルエナジーテクニック) - cアフタートリートメント
などの測定を加え統合されており、さらに既存のトリガーポイント以外の新たに発見したポイント、プライオリティー(処置の優先順位)、治療後の確認作業、が加わった技法です。
それぞれの手順の説明
a. 横行インパルス
このテクニックはフランス人薬剤師/理学療法士であるジェーンモネイロンにより開発されました。このテクニックは単体でも使用され、とても良い結果を出せる技術です。ポジショニングの準備段階の処置として、もしも筋肉に1つ以上の痛点があった場合、より重要な方だけが残る事が多くなるという効力があります。ポジショニングがよりシンプルに少ない時間でできるようになります。もしも治療の最後に用いた場合、横行インパルスを用いて、可能な限り残存したテンションや繊維質のエリアを効果的に治癒することができます。
b. 後等長性リラクゼーション
これは、潜伏期の後の瞬間と、元のポジションに戻るフェーズの間に起こる、治療においてとても重要なフェーズです。患者は元の位置に戻る活動を手伝ってはいけません。この「手伝い」は多くの患者にとっての行動パターンが反射的に起こっているものなので、時に達成するのが容易でないことがあります。フレッドミッシェル(1909-1974)の“マッスルエナジーテクニック ”(もしくは“後等長性リラクゼーション”)はこのようなケースに理想的です。筋肉を確実に能動的に収縮させ、後に以前よりもっとリラックスするからです。また、筋肉のある特定の部分にある残りの緊張を、確実に軽減させます。
治療体勢になった患者は、施術者に向かって抵抗し約3秒間押し続け、その後力を抜きます。このリラクゼーション期では、施術者が患者を受動的に元のニュートラルポジションに戻してゆきます。
c. アフタートリートメント
治療後もある時まで鋭敏な反応が残ります。そのゾーンは周辺構造においての、新たな固有感覚インパルスの統合を定め能動的に動く必要があります。
この原理では、特に決まりのない、一般的なモビリゼーションテクニックと似た動きを作り出すことが含まれています。(例)肩峰鎖骨部関節へテクニックを施した後、肩関節部全体が外方および内方の両側に回転する動きを持つようになります。
主なAORT作業手順は下記のとおりです
- トリガーポイントの触診と「牽引と加圧」(独自に新たに発見したトリガーポイントも含む)。
- 治療体勢(ポジショニング)に誘導する。
- 筋肉の「等長性弛緩(生理的に収縮が緊張の増大を生じさせるようにする)」90秒間の潜伏期をおく。
- 筋肉への「横行インパルス」テクニックで筋肉の再教育。
- プライオリティー(処置の優先順位)。
- アフタートリートメント(治療後の確認作業)。
- 治療体勢(ポジショニング)に誘導する。
- 筋肉の「等長性弛緩(生理的に収縮が緊張の増大を生じさせるようにする)」90秒間の潜伏期をおく。
- 筋肉への「横行インパルス」テクニックで筋肉の再教育。
- プライオリティー(処置の優先順位)。
- アフタートリートメント(治療後の確認作業)。
AORTオステオテクニック 適応症
肩峰鎖骨関節の痛み / 距骨(くるぶし)痛 / アキレス腱 / 腕の痛み/ 関節包炎 / 肩関節周囲炎(50肩)/ 手根管[圧迫]症候群/ 胸部痛/ 中足骨痛 (モートン症候群) / 肘管症候群/ 歯痛/ 外側 肘上顆炎症候群(テニスエルボー)/ 内側 肘上顆炎症候群(ゴルファーエルボー)/ 顔面通 / 頭痛 / 股関節通/ 膝関節痛/ 腰痛/ 偏頭痛/ 首の痛み/ 足底痛/ 回旋腱板腱炎/ 仙腸関節痛/ 坐骨神経痛 / 肩の痛み/ 肩峰下滑液包炎/ 顎関節痛/ ティーツェ症候群、など。
AORT治療の手順(症例1)
治療現場において多く遭遇する症状に、動きを制限している(していない)肩の痛みがあります。患者が髪にブラッシングかけたり髪を束ねようとした時、背中に手を回す動作をした時などに現れる種類の痛みであり、外方回転かもしくは強く内方回転した時に疼痛を誘発したり増強させたりします。この様なケースにおいては棘上筋が関与している事が多く、このとき棘上窩にトリガーポイントを触診できます。
治療には横行インパルス(横行摩擦と似ている)を導入してゆきます。施術者が片方の手でトリガーポイントをコントロールし、もう片方の手で患者を治療体勢(ポジション)に近づけてゆきます。常にトリガーポイントの方向に向かって(前傾、外転、外方回転)動かしてゆきます。患者はできる限りリラックスし完全に受動的でいます。
(図2)
次のステップは体勢の微調整です。このケースではわずかな加圧か、滑らせるような動きをしてゆきます。もし膝や足などの関節の治療で、緊張の耐性がかなり強い場合は、さらにもう少し力を加えることが必要です。治療体勢に持ってゆくステップを行いながら患者に痛みの数値を聞きます。(0が痛みナシで10が最高に痛い、の数値で表しフィードバックしてもらう)これはそれぞれの治療段階において、穏やかな改善が表された図です。治療体勢のポジショニングの微調整段階で、痛みの減少に向かっている様子が明確に表れています。
さらに、微調整の線の部分はとても狭まっており、患部を動かし過ぎた場合は痛みが増進している様子がみられます。
潜伏期の間、施術者は90秒間その位置で待ちます。90秒以下ではだめです。そして、患者に「施術者が抵抗(保持)しているところに向かって、軽く圧を加えながらトリガーポイントの方へ動かして」もらうよう指示を出します。そして次にリラックスしてもらいます。
このリラックス期には、施術者は一人で患者をニュートラルポジションに戻します。治療の相乗効果を高めるために、様々なアプローチをAORTに統合することができます。トリガーポイントを押さえ保持している間、横行インパルスの間、私たちはリラックスセラピーの場にいることができます。リラックスポジションの間は、痛みのない位置である“運動障壁(MB) ”に作業しています;運動障壁から離れる方向に向かって行います。等長性収縮(Mitchell) においても、運動障壁に関与していますが、この場合はこの運動障壁に向かって動かしてゆきます。
AORT治療の手順(症例2)
JG さん65歳。長時間の飛行機乗車の後に現れた首の痛みで来院。左側へのローテーションに可動制限が顕著にみられた。頸椎2番(C2)の前方、左側にトリガーポイントが触診された。
(図4)
患者はそれより、持病の進行した骨粗鬆症の方をそうとう心配していた。これにより治療法はAORTオステオテクニックを選択。まずはじめに、頸長筋への横行インパルスを行った後、トリガーポイントの治療体勢へとコントロールするために、痛みの無い位置へと誘導してゆきます。
トリガーポイントと逆方向である“右側へ回転させ、少し右横に曲げ、90秒間そのポジションで保持します。(図5)治療中にすでにトリガーポイントの緊張が著しく減少した。リラクゼーション期の後、少しの右側回転の等長性収縮を適応。
(図 5)
最後に患者はニュートラルポジションに戻ってゆきます。(患者自身が動くのを意図的に助けてはいけません)。「ポジショニングの間、この痛みの元々の原因になっていた出来事を思い出していた」と、後から患者のコメントがありました。飛行機の旅で右側に首を倒して睡眠中、スチュワーデスが食事を持ってきたので彼女の肩を軽くたたいて起こしてくれ、その時に唐突に反対側に頭をグイっと動かしたので、このような激しい痛みの原因になった模様。この症例は私たちがよく遭遇する現象です。AORTでの治療体勢(ポジション)は、トラウマが起こった体勢であることが多くみられます。患者は治療直後に、ほぼ痛みが消滅し首の回転ももとどおりに修復されました。
オステオパシーとは?
可動性を再確立するホリステック手技療法:
オステオパシーとは、全身の身体構造に「可動性」を再確立することで、身体が自身で癒えるベースをつくる、ホリステック(全体性)な技法です。オステオパシー専門医は、審査や治療に手を使います。
オステオパシーにおける主なテクニック:
- クラニオセイクラル テクニック
- 内蔵テクニック
- 骨格システム運動システムへの構造テクニック(HVT、筋膜テクニック、マッスルエナジー,など)
(これらの技法は、体の固有感覚受容システムや、AORTで使われるトリガーポイントにも関与しています。)
治療におけるダイレクト(直接法)とインダイレクト(間接法):
病的可動障害との関わりによって、オステオパシック技法をカテゴリー化することができます。
図 1(Aの筋肉が収縮している場合)
この場合は、F(flexon屈曲)方向に動かすのは容易で、E(extension伸展)方向に動かすことは困難です。
ダイレクト(直接法)は、(1)の関節をEの伸展の方向に動かすテクニックです。例えば、PAMB(病的可動障害)は直接的に可動域の幅を拡大します。
AORTの様なインダイレクト(間接法)では、関節周囲の組織が最大限に弛緩し、痛点の痛みが軽減しリラックスした状態の位置まで、(1)をF の屈曲の方向に動かしてゆきます。
AORT治療ではこの位置で90秒間保持します。感覚受容システムを再プログラミングするのに必要な時間です。90秒間の保持後、身体構造はゆっくりと無条件的に能動的に、元々の自然な位置に動いてゆきます。
トリガーポイント/ テンダーポイント
Tender points/trigger points
テンダーポイント(痛点)は、結合組織において浮腫がみられるゾーンです。時に、触診すると痛みがありディスク状もしくはロープの様な腫れがみられる場合もあります。そのポイントの局限化は多様です。筋肉の真ん中に位置していたり、まれですが靭帯の付着部や腱に発見されることもあります。これらのゾーンでは、侵害受容器の感度が増すため、脊髄の中心に“永久的な刺激要因である”というインフォメーションを発してしまいます。トリガーポイントや痛点は、筋電図を用いた検査において「電気的活動が高い」と計測されます。また、圧限界値測定器(1987フィッシャー)を利用しサーモグラフィー(熱像法)によって視覚で確認することができます。これらトリガーポイントは、痛みの原因となっている病原を維持するという、筋肉反射の引き金になるような役割をし、悪循環を生み出します。この誤った情報は、身体が自身で修正することができません。トリガーポイントは通常、起立筋や咬むための筋肉に多く見られます。
トリガーポイントは、テンダーポイント(痛点)と同じ性状や性質をみせますが、重要な“異なる部分”として、体節や筋肉連鎖機能への放散痛の原因となるという特徴があげられます。
AORTにおけるトリガーポイントのはたらき:
- トリガーポイントを局限化することで、どのような障害か認識することができるので、トリガーポイントは審査ツールになる。痛みの度合いで障害の度合いを推定することができる。
- 患者の治療体勢を確定することができるので、コントロールポイントの役割をする。
トリガーポイントが消滅するのは、この治療体勢が正しい場合のみである。 - 治療後の癒し効力をコントロールするポイントである。
AORT3つの主要な治療構成:
オステオパシーにおける患者の治療体勢の確定は、理想的な治療開始準備であり、治療の一般基的な基本となります。さらに正しい治療体勢にもってゆくことで、実際のマニピュレーションが必要なくなる場合も時にあります。
しかしAORTを用いた治療法では、特定の筋肉にアプローチするための治療体勢を保持し、90秒間の潜伏期を経て、ゆっくりとナチュラルポジション(元の位置)に戻ってゆくことが主流です。
The three main treatment components
-
ポジショニング(治療体勢)A) 大まかなアジャストメントB)微調整
-
潜伏期
-
ニュートラルな位置に戻る
AORT講習会クラス内容
【AORTオステオパシー自動修復テクニック】は、
“筋肉の固有感覚受容システム”と“脊髄”を「リプログラミング(再教育)」するために穏やかに行われる間接法のオステオパシー手技。
優先順位を示す部位からトリートメントを順番に行ってゆき、筋肉の固有感覚受容器と、脊髄をリプログラミング(再教育)するソフトで安全な手技療法です。
以下の全身の部位について、3つのクラスに分けて講義されます。テクニックの開発者から直伝。なお、イントロダクション部分は⑴⑵⑶ともにありますので、どこから受講を始めても大丈夫です。
-
イントロダクション
-
筋肉の神経生理学
-
AORTの基礎概要
-
痛点とトリガーポイントの触診
-
頸椎
-
胸椎
-
腰椎
-
骨盤
-
股関節
-
膝関節<
-
関節と心理(関節サイコロジー)
-
肩帯(ショルダーガードル)
-
上肢
-
足<
-
胸部肋骨
-
顎関節症
-
胸椎(屈曲障害)
-
腰椎(屈曲障害)
-
仙骨
AORTはPart1とPart2とPart3に分けて全身のトリートメントをお伝えしますが、この中に含まれていない最新のもの(微細表情筋など)は最新テクニックClassでお伝えしています。なお、受講の順番は関係ありません。フィシオエナジェティック未受講の方もご参加いただけます。
AORTパート⑴
AORTパート⑴クラス主な内容:
優先順位(AR反射ではない)を見極めながら身体構造の治療をすすめてゆく間接法のオステオパシー・テクニック。筋肉の「固有感覚受容システム」と「脊髄」を「リプログラミング(再教育)する画期的な方法です。創始者から直々に学ベる機会です。 <概要の一部> AORTは“オステオパシー自律整復テクニック”の略字です。この文脈においてのAutonomousは、「正しい治療ポジションに持ってゆくテクニックを通じて、“正しい位置”の情報を受け取った場合、身体が自身で自動的に筋肉を矯正する」という意味で使われています。 |
AORTパート⑵
AORTパート⑵クラス主な内容:
優先順位(AR反射ではない)を見極めながら身体構造の治療をすすめてゆく間接法のオステオパシー・テクニック。筋肉の「固有感覚受容システム」と「脊髄」を「リプログラミング(再教育)する画期的な方法です。創始者から直々に学ベる機会です。 <概要の一部> AORTは“オステオパシー自律整復テクニック”の略字です。この文脈においてのAutonomousは、「正しい治療ポジションに持ってゆくテクニックを通じて、“正しい位置”の情報を受け取った場合、身体が自身で自動的に筋肉を矯正する」という意味で使われています。 |
よくある質問
【Q】:
「AORTというのはカウンターストレインテクニックと同じような内容ですか?」
【A】:
ヴァン・アッシェD.O.は、若い頃にDr. ジョーンズ(ストレインカウンターストレインの開発者)から直々にトレーニングを受けていました。長年テクニックを使用するうちに、カウンターストレインの弱点や短所が沢山見つかり、それらの欠点を克服させるテクニックを開発していきました。
さらに、欠点を克服し改善したテクニックを本にまとめ出版することになりました。DR. ジョーンズに序文を依頼したところ「これはもはやカウンターストレインではない。このテクニックには違う名前をつけて新たなテクニックとして紹介するべきだ。」と言われました。そのような経歴を経てできた技術がAORTオステオテクニックなのです。
具体的な違いの一つは、ヴァン・アッシェD.O.が中国の南京で東洋医学や鍼灸を学んだ経験から、それらの知識もオステオパシー技術に癒合させAORTが開発された点です。
また、AORTには、新しく発見された「テンダーポイント」「機能不全に関する情報」が加わっています。さらに、根本的な(Primal)機能障害を見つけ出す方法や、それとまったく別のテクニックであるポジショニング(治療体勢)が入っています。このポジショニングはニュートラルに保つための非常に重要な治療要素になります。
Dr.ジョーンズの「ストレインカウンターストレイン」に補足と観測を加えた、新しい要素は下記の3点です。
a横行インパルス、
b後等長性リラクゼーション、
cアフタートリートメント
ストレインカウンターストレインがルーツになっている部分も1部ありますが、
まったく別の視野とコンセプトから構成されているのがAORTという事になります。
すでにカウンターストレインをお使いの先生方にとっても、とても有意義な学びとなります
ので是非ご参加ください。