これまで知られていなかった『免疫細胞』のはたらきが、クローン病・結腸炎の患者達に役に立つかもしれない、という文献です。

サイエンスデイリー誌(2008年11月5日)

「“免疫細胞がいつもいる場所”は、体を外部の病原体から保護するのに役立つ“腸管の扁桃腺”と“リンパ組織”である」ということが、ワシントン医科大学の研究者によって最近確認されました。免疫細胞には、クローン病や潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患(IBD)に効果がある働きをする可能性があると、研究者は指摘しています。

「これらの細胞には、抗炎症性の効果があります」と、その記事の筆頭著者であるマリーナ・チェッラ博士(病理学と免疫学の研究準教授)は述べています。「私たちは腸内に有益なバクテリアを持っています。体がそれら有益なバクテリアを有害物質であると認識しないようにし、炎症反応を開始しない様にすることは重要です。そうなってしまうと、最終的に組織の損傷及びIBDのような炎症性疾患や自己免疫疾患を進展させることがあるからです。私たちが発見した細胞“NK-22細胞”は、そのような有害な炎症性疾患を抑制する上で重要です。」

その細胞は、癌細胞とウィルス感染した細胞を除去することで知られている白血球で、ナチュラルキラー(NK)細胞の一種です。性質が非常に強いため、正常な信号を受けとるまで、NK細胞は慎重に制御されて作動しません。

最近発見された細胞を活性化する信号のいくつかは、慢性的に活性化していると細胞死と組織の損傷を進展させる、強い炎症性を持つ別の免疫細胞をオンにするのと同じ信号です。しかし、NK-22と呼ばれる抗炎症性細胞は、反対の影響を及ぼすということをワシントン大学調査者が発見しました。
細胞増殖と創傷治癒を促進するのです。

「その発見は、これらの細胞が炎症過程と抗炎症性過程の間で免疫系のバランスを維持することに“ある役割”を果たすということを示唆します」と、病理学・免疫学・発生生物学の準教授である共同執筆者ジェイソン・ミルズ医学博士は述べています。「炎症を大きくする要因は、抗炎症性効果の組織的な活性化によって打ち消されることがある、ということを確認しました。」

NK-22細胞は生来の免疫系の一部で、侵入している病原体に素早く反応します。異物の進入を警告する免疫信号に応じて、細胞がIL-22と呼ばれる合成物を大量に生成する、ということを研究者たちが発見したので、「NK-22細胞」という呼び名が選択されました。

NK-22細胞が存在し、どの免疫要因がNK-22細胞に影響するか?ということを、免疫学者によって発見された現在では「様々な炎症性疾患を治療するためにNK-22細胞を活用することができるかもしれない」と、研究者たちは言っています。

「炎症性腸疾患のような病気は、腸の保護バリアの異常から生じます」と、病理学及び免疫学の教授である論文指導者マルコ・コロナ医学博士は言います。「私たちがNK-22細胞を培養する方法を開発できれば、治癒を促進して消化管を保護するためにNK-22細胞を利用することができるかもしれません。」

米国国立衛生研究所(NIH)及び国立糖尿病・消化器疾患・腎疾患研究所(NIDDK)から資金提供を受けました。

記事参考文献:

1. Cella et al. A human natural killer cell subset provides an innate source of IL-22 for mucosal immunity. Nature, November 2, 2008; DOI: 10.1038/nature07537(チェッラ他、「人間のナチュラルキラー細胞サブセットは粘膜免疫に、先天的にあるIL-22の供給源を提供する」ネイチャー誌、2008年11月2日、DOI: 10.1038/nature07537)

出典はワシントン医科大学によって提供された資料によります。