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歯の噛み合わせと全身への影響

“歯”や“噛み合わせ”や“顎の運動”は、単に部分の問題として捉えず、
身体、意識、心、習慣、など“全体”を捕らえてゆくことの重要性についてのお話。

※顎関節症や顎のクリック音に悩まされる方も必見です!

『これが正解』という噛み合わせ基準は無い
こんにちは。私は千葉県松戸市で歯科医院を開業しております。日常、一般的な歯科治療をこなしていますが、歯や噛み合わせや顎の運動を単に部分の問題として捉えるのは無理があり、全体との係わりの中で捉えるのがこれからの医療だという考えを日々強くくしています。特にTMJの治療や咬合の調整・再構成をホリスティクな観点から取り組みたいという思 いで日夜研究しています。

歯の噛み合わせと全身との関係については、大変に興味をもって取り組んでおります。いろんな基準が持ち出されていますが、これが正解というものは無いでしょう。基本的には「フランクフルトプレーンとHIPを基準にして咬合平面を整え咀嚼筋群のバランスの取れた中心咬合位に顎位を導く」といった方向でしょう。

咀嚼筋群のバランスといっても、それらが頭蓋骨の様々な場所に付着している以上、頭の姿勢や全身の姿勢から重心位置、様々な全身の筋群や筋膜との相互に及ぼし合う影響が必然的にあるはずなので、咬合治療やTMJの治療は全身的なアプローチはどうしても必要だという見解をもっています。ロルフィングとかAKとかレイキなど全身的アプローチに興味を持ったのはそこのところからです。

たしかに咬合は全身に影響すると思います。咬合治療によって腰痛が軽減されたとか、アトピーが軽くなったという報告があるのは事実です。ただ歯の不正咬合などの影響を受けやすい人もいれば受けにくい人もいるし、ほとんど受けない人もいるのは事実です。そこらへんがその問題を解く鍵なのではないでしょうか。 
咬合のトラブル?心身のトラブル?
歯科治療(不適当な歯列矯正、不正なかみ合わせの義歯・ブリッジ)が介在した咬合のトラブルは歯科的に早急に対処しなくてはなりません。それ以外の場合はそこに導いた体・心・習慣があるはずなのでそちらを先に修正すべきだと考えます。正しい立ち方・歩き方・呼吸・姿勢・噛み癖などのいろいろな癖の修正・適度な運動と身体の柔軟性の確保 、そしてストレスなどの精神的ケア etc、、、

歯科医の中には「咬合不正が万病の素」などと謳っておられる方々もいらっしゃいますが、もしかしたら極端で危険な思想なのかもしれません。専門家の一言が人々の意識をそこに引き付け、たいした問題もないのに噛み合わせが気になってしょうがないという状態を引き起こし、それを信じた患者さんの中には咬合不正に対する神経症にかかり、自分で病を創り出していたり、何らかの問題を咬合関係や身心の不具合に投影してしまっている方もいらっ しゃる現状だからです。そしてそれ(かみ合わせ)さえ治せば自分は健康になり精神的にも開放される、極端な場合はそれさえ無ければ人生がうまく行き幸せになる。と思い詰めるまでになっている方もいるようです。そこまで行ってしまうと専門家のカウンセリングなどが必要ですね。

そういった意味では、不正咬合によって全身に及ぼす影響を受けにくい人、受けやすい人、その違いは精神的な部分がたしかに大きいと思います。神経質な人、内向的な人、ストレスを持て余している人、過去のことをくよくよ悩む人、まだ起きてない未来の出来事を思い描いて心配する人、不足感や枯渇感を持っている人。自意識過剰な人、実際あまり問題ないことが、なにかしらのトラウマや偏執的な投影や他の問題のすり替えによって大 きく拡大されてしまったり、病んで痛んでいる自分を理由付けし正当化する材料になってしまうこともあるかもしれません。  
噛みしめ、歯ぎしり、ブラキシズム
本来上下の歯牙が接触するのは咀嚼時と嚥下時のみです。普段は下顎は頭蓋骨にぶら下がっているだけというのが好ましい状態です。上下の歯が噛み合わさるのは時間にしたらほんのわずかな長さでしかないわけで、それのみが顕著に頭頸部の緊張とアンバランスをもたらし 全身に波及するとは考えにくいことです。むしろ大きな問題は噛みしめや歯ぎしりなどのブラキシズムであって、それプラス不正咬合があるとより問題が大きく出て来るのではないでしょうか。

もし上下の歯が四六時中噛みしめられていたとしたらどうなるでしょう。咀嚼筋の持続的な収縮による緊張によって引き起こされるのは。

(a)、咀嚼筋の持続的緊張による血管収縮による血行不良、や筋疲労による頭痛。
     顎関節症状。
(b)、歯牙への過度の負担のため歯周病を促進悪化させたり、歯を支える
     あごの骨が破壊 される。また歯牙が異常に磨り減る。歯に亀裂が入る。
(c)、咀嚼筋が付着する頭蓋骨の数箇所が持続的に引っ張られ頭蓋骨のいくつか
     のパーツ に不自然な応力がかかり頭蓋骨が歪む
(d )、その他の頭や顔の筋肉、首の筋肉、肩から胸、背中の筋肉の緊張とアンバランス。
(e)、 咀嚼筋に関係する運動神経、感覚神経、自律神経の持続的興奮。
(f)(e)に係わる中枢神経(大脳など)の興奮と疲弊

ざっとあげただけでもこんなにあります。しかも無意識のうちに噛みしめている人やカチカチと噛んでいる人は意外に多いのです。そして顎関節症の人のほとんどが噛みしめや歯ぎしりなどのブラキシシズム を持っているのです。
歯を噛みしめる癖をやめるには?
ではそのブラキシズムから抜け出すにはどうしたらいいでしょうか。

1●「唇を閉じて、奥歯を離し、顔の力を抜く」(lips togeter,teeth apart,face relax)という
   標語(マントラ)を何度も唱え、紙に書いて目に付くところ(時計の隣、冷蔵庫の扉など)
   にあちこちに貼っておく。

2● 類似の方法としてドレミファの「ファ」を声を出さずにいつも発音する。
   (Teeth apart法)

3● 自分の歯と歯の間に空気のクッションがあるとイメージして噛もうとしてもそのクッションの
   弾力で跳ね返されて噛めないと自己暗示をかける

などがあります。寝ている時に歯軋りなどをしてしまう人は歯医者さんにマウスガード(保険適用)を
作ってもらうといいでしょう。

でもなによりもストレスを貯めないこと発散させること。そしていつでもリラックスすることがとても大切です。「リラックスし脱力したら仕事もなにも出来やしない」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。脱力するから必要なときに機敏に動け。余分な力が抜けているから必要なことに集中できると考えましょう。
“自然にバランスをとる機能”を最大限に呼び覚ますことが大切。
さて、噛み合わせに話をもどしますが。噛み合わせに意識を奪われ気にしすぎるのは考えものだと思います。「噛み合せなんて関係ない。そんなことに関係なく自分は普通に健康だ!」と宣言しましょう。そう思ったほうが噛み合わせを気にするよりはるかに健康的だと思います。私は「健康」という言葉を使う事自体、病気にたいする不安の裏返しで好ましくないと考えているほどです。

人間の体は少々のことは自然にバランスをとる機能が備わっているはずですから、もしそれが足りないとしたらその機能を呼び覚ます ことが第一と考えます。噛み合わせの問題とか、何かの障害なり環境の変化が身心に影響する要因が有るとしたら、その人の身心の質(クオリティー)ではないでしょうか。いろんなところに体や心の硬く拘束し固まってしまっている部分があるとしたら、ある部分の些細な影響を吸収できずにあちらこちらに歪みを生むのは明らかで しょう。

例えば胸の中には心臓や肺・肝臓などを抱くように12対の肋骨(あばら骨)があります。仮にそれらの骨とその間の筋肉が一塊の筒のように固まってしまっていたとしたらどうでしょう。とても硬い体になってしまい歩いたり走ったり掃除や炊事するにもぎこちなくちょっとしたことで腰や首に負担が来るし深い呼吸が出来ないのは明らかではないでしょうか。

逆にその12対の骨とその間の筋肉がしなやかで12の輪っかがしなやかに互いがずれあいながら自由に動くとしたら、とても快適で局所的に負担がかかりにくい体になり、さらに深く気持ちのよい呼吸ができるのではないでしょうか。それと同じことが背骨の一つ一つや股関節、仙腸関節、肩甲骨、様々な内臓、筋肉、全身の皮膚について言えるのです。

心の問題を考えても、頑固だったり、こうで無いといけない、こう有るべきだ!などと拘りが強かったり、勝ち負け優劣に必要以上にこだわったり、くよくよ過去に捕らわれたり、自分を虚飾して良く見せかけたり、逆に悪く小さくみせかけたり、そんな固まった心を持った人の心はちょっとした局所のヒビでガラガラと崩れてしまうのではないでしょうか。

反対にあるがままで自分を飾らず、周りもあるがままにうけとめ、過去を振り返らず今がどんな状態でもあるがままにさらりと受け止める。こんな精神状態だったらとても快適だと思いませんか。  
木造建築のように
コンクリートで建造した家がせいぜい30年から50年しかもたないのに、日本古来の木造の寺院などが数百年から千年を越えてまで平然と建っていたりするのは、釘やネジを一切使わないがゆえに拘束が無く、木の骨組みが微妙にズレ合い歪みを吸収してしまっているからだと言われています。例えば法隆寺の五重塔は積み上げ構造といって各層同士が固くつながっていない隙間だらけの緩んだ構造(柔構造)で上層の揺れが下層の振動を抑えゆらゆらと揺れるのだけれど結果として安定してしまうという見事な造なのだそうです。しかも中心の柱は各層の骨組みとは連結されずに関係なく立っていて全体の重量を支える構造になく、地面に植わっている深さも2メートル弱しかないのです。そしてその上に55メートルの塔が建っているというのは驚きではありませんか。
拘束のないしなやかな心身を持とう!
人間の体も本来は五重塔のように柔構造で局所の歪みを全体がずれあいながら吸収補正する力が備わっているはずです。何か問題があるとしたら身体的にも精神的にもきめ細やかな柔構造を失ってしまっていることこそが問題なのではないでしょうか。 私の結論としは拘束の無いしなやかできめ細かいクオリティーをもった身心を持つようにこころがけることが様々な障害などに左右されず快適に人生をたのしむ秘訣ではないでしょうか。自分の内面のことばかり考えている人は、心を解き放ち自分の外側に意識を向けることをお勧めします。ではどうしたらよいのか。実は、一歳半から三歳ぐらいのあなたはとても快適な柔構造の身心を持っていたんです。ただ思い出せばいいのです。

 

《著者紹介》【大橋歯科1F】 院長;大橋康之
所在地:千葉県松戸市下矢切72
TEL: 047-369-5546 

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